意識低い系の読書メモ

文学・会計学が中心

「虚構」に振り回される人々

昨年大ヒットしたユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」によると、貨幣こそ人類が生み出した最大の「虚構」です。人類は貨幣という想像上の秩序を信じることで、他の動物にはない広範なコミュニティを成立させてきました。とすると、そんな貨幣制度に不…

仕事嫌いだけど「ストレングスファインダー」をやってみた

1.ストレングスファインダーで人生逆転!・・・か? ストレングスファインダーについて調べると、ほぼ間違いなくこれを絶賛した記事ばかり出てくる。誰が得するのか、ストレングスファインダーのテストの受け方を懇切丁寧に説明する記事すらある。しかも大抵…

なぜ仕事はなくならないのか 〜マルクスとAI〜

1.「ぼくは働きたくない、なぜ人は働かなくてはならないのだろうか?」 と子どものころから考え続けていました。自営業でいつも仕事が辛そうだった父親の影響かもしれません。もちろん、「生きていくためのお金が必要だから」と答えるのは簡単です。我が家は…

(感想)色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

村上春樹の小説は割と読んでいる方だと思うが、随分と内省的になったなあと思った。 デタッチメントを書いたのが初期で、コミットメントが中期(ねじまき鳥とか)だとすると、今回のテーマは「自分に向き合うこと」だろうか。 文章は相変わらずライトで、気…

パリ祭のあとの円頓寺

パリ祭も終わって、再び静かになった円頓寺。 円頓寺に住んで数年、新旧入り混じる独特の雰囲気をいつも楽しませてもらいましたが、仕事の都合もあり、いつまでここに住めるかわからなくなりました。 今のうちに色々な店に行ってみようということで、今日は…

(感想)「この世界の片隅に」

「この世界の片隅に」を見た。 普段あまり映画は見ないけど、すばらしい映画だった。 普通の人が普通に淡々と暮らしていくことの厚み。彩り。力強さ。そして尊さ。 「生活」という言葉が思い浮かんだまま消えない。 生きている限り生活しなければならない。 …

円頓寺秋のパリ祭

家の近所でやっていた、「円頓寺秋のパリ祭」に行ってきました。 円頓寺は名古屋駅から徒歩15分の商店街。 戦前は名古屋有数の繁華街の一つとして栄えていましたが、70年代に駅が廃線になると好立地なわりにアクセス手段がないために徐々に衰退し、その後の…

感想「博士の愛した数式」

妻のお気に入りである。結婚前に一度借りて読んだが、忘れてしまったので読み返した。 きれいな物語だった。とくに「博士」と「私」、二人の大人の心のきれいさが、すっと染みわたる。そして、ルート君とタイガースの無邪気さに何度も微笑んでしまう(タイガ…

堀江貴文「ゼロ」

堀江貴文の「ゼロ」を読んだ。 特にホリエモンの信者でもアンチでもないのに、なんで読んだのか覚えていないが、たまたま読んだ。 言っていることは全然普通で、ポジティブで、おもしろかった。 まさに「啓発する」啓発書である。 結果を出すには、ストイッ…

(感想)「フランス革命 歴史における劇薬」遅塚忠躬

部活の顧問は世界史の先生だった。 おっとりした猫背で長身のおじいさんだったが、世界史の授業になると豹変して熱く語る。 ほとんど板書もせず、寝ている生徒に意地悪く当てたりすることもせず、いつも民衆の声を代弁するように叫んだりして、 まるでテレビ…

(感想)「ツァラトゥストラかく語りき」ニーチェ

ニーチェといえば、「神は死んだ」という中二病全開なフレーズである。 しかし、本当の問題は、神なき時代にどう生きるかということだ。 神なき時代の人々は、伝統的キリスト教観から解放されて、自由になったかと思えば、 むしろ逆に、その自由を自ら放棄し…

(感想)「カラマーゾフの兄弟」ドストエフスキー

カラマーゾフの兄弟を読んだ。 通しで読んだのは、これで3回目になる。 たまたまだが、初めて読んだのはアリョーシャの年で、2回目はイワンの年、 そして今回はドミートリーをちょっと超えた年で読んだことになる。 それぞれ違う翻訳で読んだので、この本だ…

お盆、マルクス、人工知能

お盆明け。休みがそれなりにあったため、むしろお盆ボケという感じ。 ぼんやり研修なんて受けていると、つい余計なことを妄想してしまう。 【技術は人を労働から解放するか】 こないだ「明日、機械がヒトになる」を読んで以来、AIについて考えるようになった…

夏休みの終わり

今年の春はハードだった。 引っ越し、仕事の繁忙期、結婚式、新婚旅行。 夏が本格的になって少し落ち着いて、家計の管理とか荷物の整理とか、 いよいよ新生活を作っていく時期になっても、 夏休みまではのんびりしたいねと、相変わらず同棲生活の延長のよう…